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Raj_015


 インドの朝が好きだ。

 肌寒いひんやりとした風が、旅で疲れ気味の体を包み込みように優しく愛撫する。夜を楽しんだ野良犬たちはやっと眠りにつき、ラジャスタン地方の独特なファッションであるチョーリー(ブラ)とガーグラ(スカート)や、眩い色のサリーに身を包んだ女性たちは、まるで儀式のように厳かに家の掃除を始める。気狂いの大合唱のようなリクシャーの交通騒音もしばし鳴り止み、しんみりとした静寂の中で石造りの歴史的な建物をぼんやりと眺めていると、中世にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ってしまう。おそらく本日の日中も猛暑になるのだろうが、今この安らかな時間帯にはとうていそんな風には思えない。密度の濃い空気が充満するこのひとときには、人々のこころを美しく浄化する不思議なエネルギーが満ち溢れている。
 カフェの匂いに包まれるヨーロッパの朝も好きだった。イタリアのエスプレッソ、スペインのカフェ・コン・レチェ、ポルトガルのビッカ、フランスのカフェ・オ・レ、クロアチアのカヴァ・サ・シュラゴム、そしてこのインドではマサラ・チャイと言いたいところだが、どうやらストリートの糞尿の臭いの方が勝っているようだ・・・。

 ジャイサルメールの楽士たちは、練習も兼ねて涼しい早朝から演奏活動をする。早朝に彼らの演奏を観られる主なスポットは、街の北西の有料サンセットポイント、貴族や富豪商人の豪華な邸宅だったハヴェリーの中で最大のパトウォン・キ・ハヴェリー Patwon Ki Haveli、フォートの南西に位置する人工貯水池ガディサール湖 Gadisar Tank などが挙げられよう。
 前回の滞在でも風光明媚な景観が印象的に残ったガディサール湖で楽士を探してみることにした。八時を回った頃にリクシャーで現地に行ってみたものの、どうも早く来過ぎたようで楽士はまだ誰も来ていない。ごろりと横になってリベラルな小鳥たちのさえずりをBGMに、水辺で沐浴する老人や洗濯をする男を眺めながら楽士待ちをすることにした。(次回に続く)


(写真:朝のガディサール湖畔にて。平和なひととき)


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