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Raj_027a

 ホーリーが明けて、いよいよ撮影モードに入る。ガイドのニッキールの弟のスニールと共にウメイド・パーク近くのツーリストセンターに行くが、あいにく休日で閉館。さらに情報収集のために彼の勤務する生命保険会社の上司の家に招待される。アパートメントのような集合住宅の一室に通され、居間で打ち合わせをする。スニールと彼の上司は終始ヒンディー語で会話をしていたので、何を相談しているのかよく分からない。「政府からの補助金や教育機関からの奨学金を使っての撮影なのか」とだけ質問されたが、もちろん私費による私的調査である。どんな収穫があったのかよく分からないまま、打ち合わせは三十分ほどで終了。

 日を改めて、今度はガイドのニッキールと共に、ツーリストセンターの隣にある国営のサンジート・ナタック・アカデミー Rajasthan Sageet Natak Akademi を訪問した。一階が民族資料館になっていて、二階と三階は民族音楽関連のオフィスになっている。館長のマーダン・モーハン・マチュール氏 Madan Mohan Mathur を紹介される。恰幅が良く見るからに裕福そうだが、物腰柔らかで紳士的な男性だった。彼と小一時間会話をして、カルベリアとランガのアーティストを紹介して頂けることとなった。マチュール氏は日本の芸能にも興味があるようで「能」に関する英語書籍目録をメールで送って欲しいとのリクエストを受けたので、帰国後アマゾンのURLと共に関連資料の一覧を送付しておいた。彼はボーパのような「女形」の芸術に興味があるとも語っていたが、はてそれならば「能」ではなく「歌舞伎」の方が適当ではないだろうかと後で気付いたが、まあいいか。


Raj_027b

 館内にある録音スタジオも見学させてもらうことが出来た。ここで楽士たちの演奏を録音をしてCDのマスタリング制作まで行うという。ミキサー室を覗いてみるが、パソコンの他に機材らしきものはオープンリール、アンプ、カセットテープデッキやCDプレイヤー程度でとても潤沢な環境とは言えないが、録音室はしっかりと防音設備も配備されており、最小限の設備でそれなりに上手くやっているのだろう。エンジニアの男性に「撮影したテープを後でダビングさせてもらないか」と相談される。映像フォーマットの違い(NTSCとPAL)を理由にやんわりと断ったが、とんでもないことを容易く頼まれてちょっと辟易してしまった。まあ悪意はないのだろうけど。

 館内の見学を終えてマチュール氏の部屋に戻ると、二人の若く美しい女性と打ち合わせしている最中だった。ガイドのニッキールが、彼女たちはカルベリア Kalbelia だという。彼女たちは刺繍を施したあの独特な黒い衣装ではなく、オシャレな模様の洗練されたサリーを着ていたが、相変わらず鼻輪や、バングル、ネックレスやアンクレットなどのアクセサリーをたくさん着用しており、嬋媛(せんえん)な存在感が際立っている。ジャイサルメールでは「カルベリア=少女の踊り子」という認識でいたが、ここジョードプルでは若い女性が踊るものとされているようだ。
 打ち合わせをしている彼女たちを後ろからしばし眺めていたが、ため息が出るほどに美しい。時おり体を動かした時に鳴る、金属のアクセサリーが擦れる鋭角的な音がとても艶めかしく聞こえた。彼女たちのセッションを撮影させてもらえるのかと期待したのだが、どうやら別の仕事の打ち合わせのようで少し悲しくなる。
 美しい彼女たちとアウトカーストがどうしても線で繋がらない。それは同日の夕方に行われたカルベリアのセッションでさらに強烈に感じることとなった。


(写真上:国営サンジート・ナタック・アカデミー)
(写真下:館内の録音スタジオにて。パソコンの傍らで、オープンリールとカセットテープデッキがあるのが懐かしい)

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Rajasthan Sageet Natak Akademi
Town Hall Campus
High Court Road
Jodhpur Rajasthan, INDIA 342001



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