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Raj_040

 長く連載を続けたこの音楽紀行も、今回のランガ関連の記事で終わりに近づいてきた。

 ランガのセッションの記事に入る前に、ランガを象徴する弓奏楽器サーランギ Sarangi (Sarengi) について今回は触れたい。
 サーランギはその音色が多彩で表現力に富むことから、語源を「百(サー)」と「色(ラング)」の合成語とされており、しばしば美しい女性の歌声に喩えられるように、繊細で魅力的な音色を出す弓奏楽器である。カヤル Khayal 、ドゥルパド Dhrupad 、トゥムリー Thumri などの伝統音楽の歌の伴奏にも用いられる。
 四本の主弦、八本前後の上部共鳴弦、最大で十七本程度の副共鳴弦を持ち、主弦は向かって右から第一弦(Sa)、第二弦(Pa)、第三弦(Sa)、ドローン弦(Sa、時としてMaやPaもあり)から成る。第一弦から第三弦までの三本が腸弦、残りはすべて鋼鉄弦である。右手で演奏する弓は馬の尻尾の毛を使用している。
 音楽学者のクルト・ザックス Curt Sachs によると、サーランギは中央アジアの西部から伝わったとされ、原始的なものがコブズとして、キリギス人やダッタン人(タタール人)の間で今日も使われている。インド国内のでサーランギは種類がいくつかあるようで、現地で自分が確認しただけでも以下の六種類があった。


● シンディ・サーランギ SINDHI SARANGI
 サーランギの中で最も改良されたもので、ジョドプル、バールメール、ジャイサルメールのランガ(サーランギ・ランガ)によって使用されている。シッサム Seasam と呼ばれる木材を材料とし、ボディは動物の皮で覆われている。

● ジョギーヤ・サーランギ JOGIYA SARANGI
 ジョードプルやバールメールのジョギーによって使用されるサーランギ。

● ダーニ・サーランギ DHANI SARANGI
 ジョギーヤ・サーランギのバリエーション。アルワールやバラトプールでバラードや伝統音楽のために使用される。弓は小さい。

● ディルバ・サーランギ DILRUBA SARANGI
 グジャラート州やシンド(パキスタン)(さらに他の資料では、パンジャブ州、ウッタル・プラデシュ州、マハーシュトラ州)で人気のある、シタールとサーランギを合わせたような弓奏楽器。ディルバ・サーランギと似たような楽器として、エスラジ Esraj と呼ばれるものもある。

● デデ・パサーリ・サーランギ DEDH PASALI SARANGI (DEDH PASLI SARANGI)
 グジャラータンのような小さなサーランギ。ボディは片側だけえぐれているのが特徴。ビーマル Bhimal やシワナ Siwana の打楽器演奏ジャーティのドリー(ナガルキ)Dholi (Nagarchi) によって見出された。

● サーリンダ SARINDA
 ジャイサルメールやバールメールのランガ(スルナーイ・ランガ)、マンガニヤールによって演奏される小さなサーランギ。


※ 他にもグジャラータン・サーランギ Gujratan Sarangi 、ダドゥヤ・サーランギ Dhadya Sarangi 、パヤリダール・サーランギ Pyaledar Sarangi 、チカーラ Chikara というものがあるようだが、詳細は未確認である。


(写真:サーランギ各種。ジョードプルのサンジート・ナタック・アカデミー民族資料館、ジャイサルメールの民族博物館、タール・ヘリテージ・ミュージアムの展示品を流用)


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