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●本記事について

本記事はポピュラー音楽理論の基礎、およびフラメンコの基本的な演奏技術を理解している前提で進めていきます。双方とも関連書籍や資料が豊富に入手可能です。
各コード・スケールの表示については、楽譜でなく英数字(例:短二度はm2)を用いた表組にて対応させていただきました。作譜の時間が取れなかった理由もあるのですが、ギタリスタに取っては表組の方が理解しやすい面もあろうかと思います。
本記事はフラメンコ愛好家に向けての公開をその目的としております。参考文献を引用している部分もありますが、個人的な見解で記述した部分も多くありますので、無断で商用利用および各種論文に流用することはご遠慮ください。
本記事の内容により第三者が損害や不利益を被った場合でも、当方では一切責任を負わないものとします。記事の内容については自己責任にてご判断ください。



●応用編について

 さて今回の応用編では、フラメンコで使用されるスパニッシュ・8ノート・スケールが、ポピュラー音楽理論の中でどのように展開されているのかを検証したい。
 基礎編でフラメンコは「モード」でコード・スケールを捉えることが大切だと述べたが、ポピュラー音楽側からフラメンコへの接近という点から見ると「調性」でコード・スケールを捉えることが重要となる。調性で考える場合はフリジアン・スケールとスパニッシュ・8ノート・スケールの性格の違いを明確に把握し、用途に応じて使い分けるという必要がある。



●スパニッシュ・8ノート・スケール

 基礎編でも触れたように、フラメンコで多用されるコード・スケールは、フリジアン・スケールを原型としたスパニッシュ・8ノート・スケールである。

Por Medio

A スパニッシュ・8ノート・スケール
構成音 Tonic m2 m3 M3 P4 P5 m6 m7
テンション   ♭9 #9       ♭13  
Key in A A A#(B♭) C C#(D♭) D E F G
コード・トーン  Tonic, M3, P5, m7
アボイド・ノート  P4
特徴 ドミナント7th・スケール。短調のV7での使用が基本

【応用編備考】
(1) アボイド・ノートのP4は、M3 をオミットすることでsus4として使用可能。
(2) dim5の使用:オルタード・テンションで統一されているという点では、理論的にオルタード・ドミナント・スケールとの共通性が見られるため、P5の代わりにdim5を使用する場合がある。



●調性上でのスパニッシュ・8ノート・スケール

 スパニッシュ・8ノート・スケールは、ドミナント7th・スケール(ドミナント・コード V7 や各種セカンダリー・ドミナント・コードの拠り所になるスケール)のひとつであり、ポピュラー音楽においては短調の V7 で使用するのが基本的な使い方である。同じ短調の V7 を基本とするドミナント7th・スケールとしては、ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ・スケール(※2)、オルタード・ドミナント・スケール(※3)が挙げられる。
 フリジアン・スケールについては、長調の IIIm7 で使用するのが基本で、短調においての旋律的短音階(メロディック・マイナー・スケール)《上行》での IIm7、自然的短音階(ナチュラル・マイナー・スケール)の Vm7 でも特殊な例として使用されるのだが、今回は省略させていただく。


(1)調性上での各コードスケール【長調】
ダイアトニック・コード セカンダリー・ドミナント・コード
I イオニアン I7 ミクソリディアン
IIm7 ドリアン II7 ミクソリディアン
IIIm7 フリジアン III7 ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ
スパニッシュ・8ノート
IV リディアン IV7 リディアン・ドミナント
V7

ミクソリディアン



VIm7 エオリアン VI7 ミクソリディアン♭6th
VIIm7(♭5) ロクリアン VII7 ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ
スパニッシュ・8ノート
オルタード・ドミナント

【備考】 ダイアトニック・コードの V7、セカンダリー・ドミナント・コードの I7 では、意識的な調性外音の使用(テンションのオルタード化を含む)、またセカンダリー・ドミナント・コードの VI7 では、後続するコードに基づく考え方で、スパニッシュ・8ノート・スケールが使用されるのだが、特殊な使い方のため今回は例外として削除した。


(2)調性上での各コードスケール【短調】
ダイアトニック・コード セカンダリー・ドミナント・コード
Im ナチュラル・マイナー (エオリアン)
ハーモニック・マイナー
メロディック・マイナー<上行>
ドリアン (※1)
I7 ミクソリディアン♭6th
ミクソリディアン (※1)
IIm7(♭5) ロクリアン II7 ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ
スパニッシュ・8ノート
オルタード・ドミナント
♭III イオニアン
リディアン (※1)
♭III7 ミクソリディアン
リディアン・ドミナント (※1)
IVm ドリアン IV7 ミクソリディアン
V7 スパニッシュ・8ノート
ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ
オルタード・ドミナント
ミクソリディアン♭6th (※1)


♭VI リディアン ♭VI7 リディアン・ドミナント
VIm7(♭5) ロクリアン
ロクリアン#2 (※1)
VI7 ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ
スパニッシュ・8ノート
オルタード・ドミナント
♭VII(7) ミクソリディアン    
VII dim 名称なし VII7 オルタード・ドミナント

【備考】 セカンダリー・ドミナント・コードの I7 では、後続するコードに基づく考え方で、スパニッシュ・8ノート・スケールが使用されるのだが、特殊な使い方のため今回は例外として削除した。


※1. 変則的なもの

※2. ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ・スケール
構成音 Tonic m2 M3 P4 P5 m6 m7
テンション   ♭9       ♭13  
Key in A A A#(B♭) C#(D♭) D E F G
コード・トーン  Tonic, M3, P5, m7
アボイド・ノート  P4
別名称 フリジアン・メジャー・スケール、ユダヤ・スケール、スパニッシュ・ジプシー・スケール(長調)、フリジアン・ドミナント(長調)

※3. オルタード・ドミナント・スケール
構成音 Tonic m2 m3 M3 aug4/dim5 m6 m7
テンション   ♭9 #9   #11 ♭13  
Key in A A A#(B♭) C C#(D♭) D#(E♭) F G
コード・トーン  Tonic, M3, m7
アボイド・ノート  なし



●ディミニッシュ・コードとセカンダリー・ドミナントコードの関係

 ディミニッシュ・コードが、セカンダリー・ドミナント・コードと同等な機能を持つことがあり、おもに上行進行によるパッシング・ディミニッシュ・コードがこれに該当する。
 考え方としては、I → VI7(♭9) → IIm7(例:C → A7(♭9) → Dm7)の場合、セカンダリー・ドミナント・セブンスである VI7(♭9) の基音を省略すると #Idim(C#dim)と同じ和音構成になることから、I → I#dim → IIm7 というパッシング・ディミニッシュの進行に置き換えられる。その場合、I#dimで使用するコード・スケールは「#I 合成ディミニッシュ・スケール = VI7 スパニッシュ・8ノート・スケール」となるのである。

 各ディミニッシュ・スケールと同音列のスパニッシュ・8ノート・スケールの一覧を以下に示すが、以下の点にご注意いただきたい。

【注意点】
 パッシング・ディミニッシュの性格上、長調でのディミニッシュ・スケールは、コード・トーンと I メジャースケールの構成音との合成となり、短調でのディミニッシュ・スケールは、コード・トーンと自然的短音階( I エオリアン・スケール)の構成音との合成になる。そのために両方の調性とも、M2 が m2 に、P4 が dim4 に変化した合成ディミニッシュ・スケールと考える。

・ディミニッシュ・スケール:Tonic - M2 - m3 (#9) - P4 - dim5 - m6 - M6 - m7
・合成ディミニッシュ・スケール:Tonic - m2 - m3 (#9) - dim4 - dim5 - m6 - M6 - m7(M2がm2、P4がdim4に変化)


(1)上行進行(長調)
同等の機能 元スケール 同等スケール 代表的な進行
#I dim = VI7 #I 合成ディミニッシュ VI7 スパニッシュ・8ノート #I dim → IIm7
#II dim = VII7 #II 合成ディミニッシュ VII7 スパニッシュ・8ノート #II dim → IIIm7
#V dim = III7 #V 合成ディミニッシュ III7 スパニッシュ・8ノート #V dim → VIm7
#IV dim = II7 #IV 合成ディミニッシュ II7 スパニッシュ・8ノート #IV dim → V7

(2)上行進行(短調)
同等の機能 元スケール 同等スケール 代表的な進行
#IV dim = II7 #IV 合成ディミニッシュ II7 スパニッシュ・8ノート IV dim → V7
IV dim → Vm7
VII dim = V7 VII 合成ディミニッシュ V7 スパニッシュ・8ノート VII dim → Im
VII dim → I7

(3)下行進行(変則的)
同等の機能 元スケール 同等スケール 代表的な進行
♭III dim = II7 ♭III 合成ディミニッシュ(※1) II7 変形スパニッシュ・8ノート (※2) ♭III dim → V7

※1.  この下行進行のみ変則的で、M2からm2の変化がなく、つまり構成音が、Tonic - M2 - m3 (#9) - dim4 - dim5 - m6 - M6 - m7 となる。
※2.  スパニッシュ・8ノート・スケールの m6 が M6 に変化したもので、名前のないスケールのため、ここでは変形スパニッシュ・8ノート・スケールとした。


 (1)のような長調でのディミニッシュ・コードおよび、(2)のような短調でのディミニッシュ・コードのコード・スケールから引き出されるドミナント・スケールは、すべてスパニッシュ・8ノート・スケールである。(3)は変則的なドミナント・スケールだが、このようなコード・スケールの共通性は、両コードの機能的な結び付きを明らかにしており、この種のパッシング・ディミニッシュ・コードが、各セカンダリー・ドミナントの代表コードの一種と考えられる。
 さらに、パッシング・ディミニッシュ・コードがドミナント・モーションを作るという性格(今回の場合はマイナー7th・(♭5)コードとセカンダリー・ドミナント・コードによる)から、セカンダリー・ドミナント・セブンスを分割して、これらのドミナント・スケールからロクリアン・スケールまたはロクリアン#2・スケールを引き出すこともできるのだが、今回の意図から外れてしまうので省略させていただく(例:#I dim → IIm7 が VI7 → IIm7 となり、さらにVI7を IIIm7(♭5) → VI7 で代替した場合に III Locrian を使用する)。



●テンションのオルタード化

 ナチュラル・テンションのみで構成されているミクソリディアン・スケールからのテンションのオルタード化、および代理コードへの発展は二種類の経路があるが、スパニッシュ・8ノート・スケールを含む方を以下に記す。オルタード・ドミナント・スケールが代理コードへの最終的な中継点となる。

(1) ミクソリディアン
  [ Tonic - M2 (9) - M3 - P4 - P5 - M6 (13) - m7 ]
    ↓
(2) ミクソリディアン♭6th:[ 13th →♭13th ]
  [ Tonic - M2 (9) - M3 - P4 - P5 - m6 (♭13) - m7 ]
    ↓
(3) ハーモニック・マイナーP5th・ビロウ:[ 9th →♭9th ]
  [ Tonic - m2 (♭9) - M3 - P4 - P5 - m6 (♭13) - m7 ]
    ↓
(4) スパニッシュ・8ノート・スケール:[ #9th追加 ]
  [ Tonic - m2 (♭9) - m3 (#9th) - M3 - P4 - P5 - m6 (♭13) - m7 ]
    ↓
(5) オルタード・ドミナント:[ P5 → dim5、P4→aug4 (=#11th) ]
  [ Tonic - m2 (♭9) - m3 (#9th) - M3 - aug4 = dim5 (#11) - m6 (♭13) - m7 ]
    ↓
(6) 《代理コード》短5度上 リディアン・ドミナント:[ dim5 = aug4から並べる ]  
  例)C オルタード・ドミナント → G♭リディアン・ドミナント



●スパニッシュ・8ノート・スケール上のアッパー・ストラクチャー・トライアド

 アッパー・ストラクチャー・トライアド(略してUPT.)は、今回は「分子のコード/分母のコード」で表記する。

UST. 説明 凡例
♭IIm 短2度上の短三和音 G7(9・♭13) → A♭m/G
♭III 短3度上の長三和音 G7(#9) → B♭/G
♭VI 短6度上の長三和音 G7(#9・♭13)→ E♭/G
sus4系統
♭II 短2度上の長三和音 G7sus4(♭9・♭13) → A♭/G
IVm 完全4度上の短三和音 G7sus4(♭13) → Cm/G
♭VIIm 短7度上の短三和音 G7sus4(♭9) → Fm/G

 テンション・サウンドの内、#9thはトップ・ノート(最高音)として利用されることが多い。特殊なテンション・サウンドとしては、#9thの肉声での使用や、♭9thと#9thとの共存などが挙げられる。#9thを含むsus4サウンドのみは実用的でないため、これを省略する



●アンダルシア終止形のバリエーション

 さて最後になるが、フラメンコで使用されるアンダルシア終止形を、ポピュラー音楽的にアレンジする場合のバリエーションを列記したい。
 アンダルシア終止形のバリエーションは、代理コードで派手に変化するという性格のものではなく、ベース・ライン・クリシェ(半音下行)を用いたシンプルな型になる。フラメンコの楽曲でも、パコ・デ・ルシアの "Cepa Andaluza"、"Los Pinares" 等で、ベース・ライン・クリシェが効果的に使われている(【注】最近のモダンなフラメンコでは、アンダルシア終止形の解釈を柔軟に広げて自由に表現しているように思える。詳しい考察は今後の課題としたい)。
 なお今回は、モードではなく調性という見方で捉えているため、最初のコードをトニックと考える。

基本進行: Im →♭VII →♭VI → V
( Dm → C → B♭→ A ) ※ Key in Dm

 
バリエーション1: Im →♭VII7 →♭VI7 → V7
( Dm → C7 → B♭7 → A7 )
バリエーション2: Im・V7/VII → Im7/♭VII → Im6/VI → ♭VI → V7 ※分数表示:コード/ルート音
( Dm・A7/D♭→ Dm7/C・Dm6/B → B♭7 → A7 )
バリエーション3: Im・ImM7/VII → Im7/♭VII → Im6/VI →♭VI → V7
( Dm・DmM7/D♭→ Dm7/C・Dm6/B → B♭7 → A7)
バリエーション4: Im・V7/VII →♭VII・IV7 →♭VI7 → V7
( Dm・A7/D♭ → C・G7 → B♭7→ A7 )

【備考】
(1) Im6/VI = VIm7(♭5)(例:Dm6/B = Bm7(♭5) )
(2) フラメンコでのベース・ライン・クリシェの一例(パコ・デ・ルシア "Cepa Andaluza" より)Cepa Andaluza

(3) ♭VI をピボット・コードとして平行長調へ転調する方法もよく使用される(♭VIM7 は平行調のIVM7。共にサブドミナント・コード)。
凡例:


(4) アンダルシア終止形と構造的に似ているものに、長調のリディアン・スケールで展開されるリディアン終止形が挙げられる。
調性上:I → VIIm → VIm → V(Dm → C#m → Bm → A)



【2009.12.30追記】

 以下にアンダルシア終止形のコード・バリエーション、テンション・コード、代理コードの一覧を補足しておきたい。
 ポピュラー音楽理論に準じており特に補足することはないと思うが、バリエーションおよびテンションを使用する際には、ジャズで用いられるような三和音や四和音にテンションを加える一般的なコードの押さえ方よりも、ルートを抜いたり、テンションや構成和音の一部を低音部に置くユニークな転回形が多用される。各自の好きなギタリスタを参考にしてハーモニーの作り方を研究してみて欲しい。


コード進行

Dm C B♭ A
バリエーション □m6
□mM7
□m7
□m6(♭5)
□mM7(♭5)
□m7(♭5)
□6
□M7
□7
□7(#5)
□M7(#5)
テンション [minor]
9th
[minor 7th]
9th、11th
[major]
9th、#11th
[dominat 7th]
♭9th、9th、#9th、#11th、♭13th、13th
代理コード (※1)
FM7 (♭IIIM7)
Cm7(♭5) (VIm7(♭5))
B♭M7 (♭VIM7)
(※2) (※3) (※4)

※1.  調性上による。
※2.  C7 (♭VII7) の時にGm7 (IVm7) を代理コードとして考えることもできなくはない。
※3.  B♭M7 (♭VIM7) の時にGm7 (IVm7) を代理コードとして考えることもできなくはない。またトマティートの "Soledad" では、(IIm7b5)を代理コードとして用いているのも興味深い。
※4.  ドミナント・コードに対しては裏コードである E♭7 (♭II7) が、ハーモニック・マイナー・スケール上で展開される場合に可能となるが、フラメンコではさほど重視されていないようである。
ちなみにモード(Key in A)で考えた場合は、ドミナント・コード(E)の裏コードはB♭となる。モード上でのこの裏コード(B♭)は、ナポリタン6th・コードでもあり、フラメンコでは使い方で個性が出る大変重要なコードである。



●あとがき

 二回に渡って足早にフラメンコのコード・スケール理論を論じてみましたが、もちろんこれはフラメンコの多様な側面のひとつの見方に過ぎず、また違う側面から眺めてみれば新しい気付きがあることでしょう。
 フラメンコとは奥が深くかつ普遍性を持った特別な音楽だと思います。今回の連載を手がかりとして、アフィショナードたちのさらに深い洞察に踏み込むきっかけとなれば幸いです。

Illust 長い歴史の中でヒターノが受け継いできたフラメンコという芸術音楽。カンテ、バイレ、トケという三位一体が確立した頃にはすでに完成されていた音楽だったことに、フラメンコの偉大さを感じさせられます。先人の天才たちが、理論的にはもとより、本能的・直観的に切実な想いを表現に昇華させ、それが時代の流れに動じないスタンダードとして現在まで通用しているところに、民族の持つ血の奥深さとプライドを感じ、畏怖の念すら湧いてきます。フラメンコもクラシック音楽同様に、時代を超えてしまった普遍的な何かを持っているように思えてなりません。

 フラメンコギターの表現が劇的に変化したのは、パコ・デ・ルシアの影響が大きいと言われています。パコ以降のフラメンコギター界はポピュラー音楽理論との融合により、複雑な和音構成やアレンジといった知的探究心に富んだ作品が増えていくことになります。
 ポピュラー音楽やジャズ、フュージョンとの融合がフラメンコの進化形であるかどうかは、人それぞれの判断に委ねたいと思いますが、理論は音楽の共通言語でもあり、他ジャンルの音楽との融合が試みられたからこそ、フラメンコは今日まで生き長らえてきたと言っても過言ではありません。それはフラメンコがアンダルシア地方というハイブリッドな文化土壌の中で培われてきた音楽であることに因果があるように思えるのです。

 思うに流行廃りというのは、時間軸で螺旋のように繰り返されるものです。新しい表現が出現し、それが行き詰まるとまた原点に回帰する。表現の世界だけでなく、経済社会も、そして個々の人生でも同じことが言えると思います。複雑かつ斬新さを知的に探求してきた人は、シンプルな原点に回帰することの必要性を感じるでしょうし、まだ吸収するものが多い人は、未知なる世界にさらなる挑戦を挑むことでしょう。正解はひとつではなく、人生の数だけフラメンコがあるのです。

 商業主義的なポピュラー音楽に食傷気味で、リスナーとしてもプレイヤーとしても音楽全般から離れつつあった自分を、再度表現の世界に連れ戻してくれたのがこの「魂の音楽」フラメンコと言っても過言ではありません。ドゥエンデ探索の旅が再び始まりました。


 こいで みのる



●参考文献およびウェブサイト

・コード進行 ハンドブック/北川祐 編著(リットーミュージック)※88年版
・コード・スケール ハンドブック/北川祐 編著(リットーミュージック)※89年版
・実践コード・ワーク 理論編/篠田元一 編(リットーミュージック)※91年版
・フラメンコの芸術/ドン・E・ポーレン 著 青木和美 訳(ブッキング)
・Wikipedia:Flamenco
・Wikipedia:Andalusian cadence





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