
三年前、朱夏のアンダルシア訪問でグラナダに滞在していた時の出来事。カルメン広場の路地裏の安ホテルで寛いでいた白い夏の午後、向かいの家屋からいきなり大音量で流れてきた音楽に電流を浴びたような衝撃を受けました。ロックを彷彿とさせるフラメンコ風の楽曲。激しいビートに畳み掛けるようなメロディと力強く哀愁を帯びた歌声。まるでザ・フーの "Real Me" を初めて聴いて衝撃を受けた若い頃のような、体の底から熱いモノが湧き上がるようなリアリティを感じたのです。一瞬にして周りの風景が原色味を帯び、さらにハイキーで濃密なコントラストに変化する。スペインと自分が密接に繋がった瞬間でした。
後になってこの衝撃的な楽曲が、カンテ・フラメンコ界で最も重要なカディス出身のシンガー、カマロン・デ・ラ・イスラの「La leyenda del tiempo(時の伝説)」というアルバムのタイトル曲だと知ったのですが、今でもこの曲を聴くと、グラナダのホテルのベランダから観た風景や街中の香しい匂い、さらにはアルバイシンのひんやりとした石畳や夜のアルハンブラ宮殿の赤い城の光景がふっと蘇ってきます。およそ純粋なフラメンコとは言い難い、ロック的アプローチを持ったプログレッシブなこの楽曲こそが、ぼくの魂を揺さぶった強烈なフラメンコ原体験なのでした。
カマロンのアルバムでは、他に「Camaron Nuestro」「Como el agua」 「Calle Real(個人的にはこれが一番好き)」「Soy gitano」「Potro de Rabia y Miel」などを愛聴していますが、前述した1979年発表の「La leyenda del tiempo」は本当に凄いとしか言いようがない。パコ・デ・ルシアの代わりに二十歳のトマティートをギター伴奏に初めて起用したアルバムであり、ライムンド・アマドールもロック・フィーリング溢れるギターで参加。作曲にキコ・ベネノを迎えたり、詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカを偲んで5曲に彼の詩を引用しています。
タイトル曲 "La leyenda del tiempo" はスピーディーなブレリアやタランタのリズムで構成されている重要な楽曲で、さらに最終曲 "Nana del caballo grande" では、シタールのドローンを中心としたインド音楽的なアプローチとフラメンコを融合、ロマの原点と終点を結ぶという大胆なアレンジに挑戦していて、おもわず唸ってしまうほど。ローリング・ストーンズのミック・ジャガーも尊敬して止まないこのカンテオール。肺ガンのため92年に41歳の若さで逝去したのが本当に悔やまれます。
カマロンのアルバムは何枚かリマスター盤が発売になっているようなので、スペインに行く機会があったら是非ともまとめ買いしたいですね。
最近ほとんどのCDを処分してしまい、楽曲はもっぱらインターネットのダウンロード販売サイトから購入することが多いのですが、Apple社のiTune Music Storeでは手に入らない音源が多いため、最近は専らロシアの格安MP3ダウンロード販売サイトを利用しています。その中でも
mp3fiesta.com は少ないながらもフラメンコ系の音楽が入手可能なのでよく利用します。
アルバム1枚分ダウンロードしても大半が1ドル未満。ビットレートも128kbps以上なので、通常のオーディオシステムでの再生なら、マニアでない限り不満はないと思います(厳密にいえば、データ圧縮すると人間の不可聴周波数領域がカットされ音のニュアンスが変わるので、CD音源と比較すると音質は変化します)。現在ぼくはオーディオシステムを処分してしまい、iPodを音楽制作用のモニタースピーカーに繋いで聴いているのですが、この環境で特に不満はありません。しかし極めてたまにポップノイズやヒスノイズが目立つ楽曲(「Camaron Nuestro」は酷かった)もあり、このロシアのサイトの音源の出所に不審な点はあります。でも最近の音源なら問題ないと思いますよ。
レジスター後、20ドル〜100ドルの金額をクレジットカード決済でデポジットして、その後自分の好きな楽曲をダウンロードし放題。iTune Music Storeのようにダウンロードしたデータにジャケット画像も付いていないし、ダウンロードも手動なので面倒なのですが、とにかく安いのであまり文句も言えない。#LS-3M-P-06-94というロシアのライセンスを取得して営業しているようなので、違法性はないように思われます。ロシアには他にも
Legalsounds.com、
Mp3sale.ruなどの格安MP3ダウンロード販売サイトがあります。
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mp3fiesta.com - MP3試聴&購入ページ:
La Leyenda Del Tiempo
2007/10/22
世界の路傍音楽
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